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クラウドコンピューティングとエッジコンピューティングの簡単な歴史

7 Feb 2019 | 読了時間: 3分
Bosch ConnectedWorld Blogからの翻訳

このブログ記事の筆者はIsmet Aktasです。筆者の紹介及び英語版のブログ記事は こちらです。

IoTの世界では、エッジコンピューティングがますます幅広く支持されてきています。これは2018年の トップ技術トレンド(英語)の1つで、次世代デジタルビジネスの基礎を固めるものでした。またこれと並行して、データが大量なことや計算リソースの最適化の必要性から、データをクラウドへと送る傾向がますます高まっていることも分かります。

エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは相互に排他的なアプローチとして理解されることが多いものの、大きなIoTプロジェクトではこれら2つの組み合わせが必要になることもよくあります。現在のIoTの見通しを把握し、さらにエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの相互補完的な性格を理解するため、時間をさかのぼってここ2、30年の進化を見てみましょう。

Edge cloud history Icon lens
出典:Bosch Software Innovations

通信や分散システムの歴史を見てみると、エッジコンピューティングはそれほど新しいものではないことが分かります。この図は、エッジコンピューティングのこれまでの進化を示した上で、エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングを組み合わせることにより最高の価値が生まれるという当社のビジョンを示しています。

分散コンピューティングの始まり

エッジコンピューティングの起源は、アカマイがコンテント・デリバリ・ネットワーク(CDN)を立ち上げた1990年代にまで遡ることができます。当時の考え方は、エンドユーザーに地理的に近い場所にノードを設け、画像やビデオ等のキャッシュされたコンテンツをそこからユーザーに届けるというものでした。

1997年に、ノーベル他が研究論文「アジャイル・アプリケーションを意識したモビリティへの適応」で示したのは、リソースに制約のある携帯端末上で実行される各種アプリケーション(Webブラウザ、ビデオ、音声認識等)のうち、一定のタスクは強力なサーバー(代行者)へと移動させられるというものでした。その目的は、計算リソースへの負荷を軽くすることで、さらに、その後の論文でも提案されたように、携帯端末の電池寿命を延ばすことも可能になります。今日、たとえばGoogleやアップル、アマゾンの音声認識サービスも同じような方法を採用しています。 2001年に、サットヤーナラヤーナン他は、パーベイシブ・コンピューティングという考え方を示し、その論文「パーベイシブコンピューティング - ビジョンと課題」でこのアプローチを一般化しました。

同じく2001年には、非集中化されたスケーラブルな分散アプリケーションで、ピアツーピア(P2P)の(いわゆる分散ハッシュテーブルの)オーバレイ・ネットワークが提案され、使われました。この自己組織化オーバレイ・ネットワークは、フォールトトレラントで効率的なルーティング、オブジェクト・ロケーション、ロードバランシングを可能にするものです。さらにこれらのシステムでは、ベースとなる物理的なインターネット接続上の近接したネットワークの利用が可能になるため、ピア間の長距離伝送を避けることができます。このことは、全体としてのネットワーク負荷の軽減が可能なだけでなく、各アプリケーションの待ち時間の短縮にもつながります。

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングは、エッジコンピューティングの歴史に特に重要な影響を与えたことから、ここでは特別に説明しておく必要があります。クラウドコンピューティングが特に注目を集めたのは2006年のことでした。この年は、アマゾンが「エラスティック・コンピュート・クラウド(EC2)」を初めて推進した年です。これにより、計算能力、可視化、保存容量といった面の新たな機会が多く生まれました。

とは言うものの、クラウドコンピューティングは、全てのユースケースに適用できるソリューションではありませんでした。たとえば自動運転車や(産業)IoTの出現と共に、瞬時の意志決定を可能にするためのローカル処理がますます重要視されるようになってきたのです。

クラウドレットとフォグコンピューティング

2009年に、サットヤーナラヤーナン他は「モバイルコンピューティングにおけるVMベース、クラウドレットのケース」という論文の中で「クラウドレット」という用語を紹介しました。この研究は待ち時間に特に重点を置いたものでした。具体的に言うと、この論文は2層アーキテクチャを提案しています。最初の層はクラウドとして知られるもので待ち時間が長く、2番目の層が待ち時間の短いクラウドレットです。後者は非集中化され広く分散して配置されたインターネットインフラのコンポーネントで、その計算サイクルやストレージ資源は、その近くに存在するモバイルコンピュータの資源を活用可能です。さらにこのクラウドレットには、キャッシュされたデータのコピーなど、ソフト状態のデータが保存されるだけです。

2012年に、シスコは分散したクラウドインフラについて、フォグコンピューティングという用語を使いました。その狙いは、IoTのスケーラビリティを促進すること、すなわち、待ち時間の短いリアルタイムアプリケーションでも莫大な数のIoTデバイスや大量のデータを扱えるようにすることでした。

大規模IoTアプリケーションのためのクラウド/エッジコンピューティング

今日のIoTソリューションは、従来よりもはるかに広い 要求範囲に対応する必要があります。多くの場合、複雑なIoTソリューションにはエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの組み合わせが選択されています。クラウドコンピューティングが使われるようになるのは、何らかのアプリケーションやプロセスを実行するため、あるいはテレメトリデータをどこからでも見えるようにするための、十分な保存容量と計算能力が必要な場合です。一方のエッジコンピューティングは、短い待ち時間や自律的なローカル動作、バックエンドトラフィックの低減等が必要な場合や、機密データが関係する場合に適切な選択となります。

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