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IoTにおけるデジタルツイン入門

18 Oct 2018 | 読了時間: 3分
Bosch ConnectedWorld Blogからの翻訳

このブログ記事の筆者はGerald Glockerです。筆者の紹介及び英語版のブログ記事は こちらです。

IoTの出現を契機に、「デジタルツイン」のコンセプトにはこれまでになく強い関心が集まっています。たとえば、 調査会社であるガートナー(英語)の2017年の記事では、 「今後5年間及びそれ以降にますます幅広く、かつ深い影響を及ぼす破壊的トレンド」とされています。このコンセプトとは、どのようなものでしょうか?

IoTとデジタルツインは完璧に調和する

デジタルツインのコンセプトは特に新しいものではありません、物理的な対象物のデジタル表現は、何十年も前から使われてきました。 ここではNASAを例にとってみましょう(英語)。NASAが対象とするシステムは地球から遠く離れているため、実際に見たりモニターしたりすることはできませんでした。そこでNASAはデジタルモデルを作り、地球上からシステムのシミュレーションや分析を行ったのです。

IoTの場合、デジタルツインを使うことで、その資産が持つ(全てではないにしても)ほとんどの機能について、全体的な観察が可能になります。このことは、デジタルツインはIoTデバイスが持つ様々な側面をうまく組織化することに役立つ、ということを暗に意味しています。一元化されたモデルとAPIをデジタルツインに与えることで、IoTアセットの取り扱いが極めて容易になります。デジタルツインは、モノ自体と、そのモノが持つ様々な能力や機能にアクセスして働きかけるためのコンタクトポイントとを表現したものです。

Digital twin
デジタルツインは、モノ自体とその機能を表現したものです。これら機能の中には、複数の特性を持つ状態を示すものもあり、また、たとえば動作やイベントなど、何らかの機能へのインタフェースを示すものもあります。

デジタルツインがIoTから受ける恩恵は、何らかのデータを取り出して送信するとき、対象となるアセットへの接続を何ら気にする必要がないことです。つまり、クラウド上のセキュアなサンドボックスにアプリケーションを展開するだけで、そのアプリケーションがデジタルツインとのインタフェースとなり、実際には物理的に広く分散配置されているIoTアセットがまるですぐ隣にあるかのように見えるのです。

このサンドボックス方式の場合、アプリケーションがアセット上にではなくクラウド上に展開されていることから、セキュリティリスクが軽減されます。究極的には開発費の節約につながりますが、これはIoTアプリケーションを短時間で開発できるということでもあります。このように、クラウド上のデジタルツインは、多くの新機能や新しいソリューションへの可能性を広げます。

IoTにおけるデジタルツイン入のユースケース

デジタルツインの応用分野は多種多様であり、特定の産業や分野に限定されるものではありません。幅広く、多くのシナリオで使用可能です。デバイス内の単一のセンサーをモデル化して表現するデジタルツインがある一方で、いくつもの建物から成るキャンパス全体のエネルギーや利用状況、トポロジー等、多くの側面を反映したデジタルツインもあります。

Digital twin elements

デジタルツインは、デバイスや製品等のアセットが持つ全ての側面や能力を、その仮想表現も含め、全体論的に示してくれるものです。ボッシュIoTシングス(Things)のサービスは、その主要な要素として、デジタルツインAPIから、ツインマネジメント、ステートマネジメント、アクセス管理、組織化までの幅広いサービスを提供しています。

デジタルツインは、たとえばインダストリアルIoT(IIoT = 産業分野のモノのインターネット)の領域でも活用できます。1つの一般的な例として、製造プロセスを考えてみましょう。マシンにセンサーを装備することで、マシンの挙動そのものについてだけでなく、全体としての工場の状態など、様々な運用データを集めることができます。デジタルツインを使えば、これらのデータ集合を1つにまとめて分析することが可能になり、各生産プロセスを仮想世界上に再現することができます。経年による性能の変化やずれが明らかになれば、メーカーは何らかの処置を行って生産プロセスを最適化することができます。

もう1つの有望なユースケースとして、利用ベースの保険があります。高価なテレマティックスユニットを新たな顧客の車にその都度装備する代わりに、クラウド上にアプリケーションを展開できます。デジタルツインは、個々のドライバーの運転スコアの計算に使えます。

「ボッシュのデジタルツインソリューションは、最も進んだソリューションであると思われますが、さらに重要なことは、デベロッパーから最もアクセスしやすいソリューションだということです。デジタルツインのコンセプトに興味があれば、私なら間違いなくここからスタートします」
Ian Skerrett, IoTコンサルタント

デジタルツインを実装する前に考慮すべき重要なポイント

今やデジタルツインは圧倒的なトレンドとして脚光を浴びていますが、忘れてはならないのは、その実装が必ずしも簡単ではないということです。デジタルツインを使うとき、その重要な柱になるのはデータです。組織の壁を乗り越えて必要なデータにアクセスすることは、なかなか思うようにならない、骨の折れる仕事です。このハードルを乗り越えるには、各企業がそのプロセスやシステムを調整するしかありません。データを取り巻く壁を取り壊し、組織内のどこからでも容易にアクセスできるようにしなければなりません。データの保存、管理、操作のための全体論的なアプローチが不可欠ですが、これは多くの場合、言うほど簡単なことではありません。

もう1つの問題は、可能性があると思われるユースケースの複雑さです。データを収集することとデータを評価して使うことは全く別のことです。デジタルツインは、一夜のうちにすべてが完璧に実現できるほど簡単なものではありません。デジタルツインが価値を創造できる部分はどこか、またその他の利益は何かを見つけるための、小さないくつものステップが必要になります。




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