ボッシュ ソフトウェア イノベーションズ
ソフトウェアイノベーション
接続された農業

農家がIoTを利用して病害を防止する方法

8 May 2018 | 読了時間: 4分
Bosch ConnectedWorld Blogからの翻訳

このブログ記事の筆者はRyosuke Suzukiです。筆者の紹介及び英語版のブログ記事は こちらです。

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出典: iStock/Leonidovic

農業は、難しい産業です。朝が早くて、肉体労働だというだけでなく、先の予測もつきません。一度ひどい霜や病害の大発生にやられると、利益が吹き飛びます。私たちは、素朴な農家や田舎の景色といったイメージを抱くかも知れませんが、農家は管理を強化するためのあらゆる技術の導入に積極的なのです。

モノのインターネット(IoT)によって、栽培者は作物に対する理解が深まります。 アスパラガス(英語)から リンゴ(英語)牡蠣(英語)まで、農家は今や、データを収集し、行程を自動化して、収穫高を増やしつつあります。さらに、現在では、この豊饒さにトマトなどのハウス作物が加わります。

知見を、農家が必要とする時に

2017年7月、ボッシュ・ ジャパンからハウス栽培向け病害予測・監視システム 「Plantect™」(英語)が発売されました。こうした農家が直面する最大の脅威は、作物の病害です。たとえば、トマトはさまざまな感染症にかかりやすく、中でも最も一般的なのが真菌病です。こうした病気との闘いが厄介なのは、農家は手遅れになるまで問題の存在に気づかないからです。

これが長年の問題です。史上最大の農業災害の1つである、 アイルランドのジャガイモ飢饉(英語)を考えてみましょう。作物の感染が分かったのは、しなびて食べられない塊茎を地中から引き抜いた後のことでした。過去170年に及ぶ大規模な技術革新にもかかわらず、作物の病害の早期予測が難題であることに変わりはありません。

近代の農家は、農薬などの農芸化学液剤を自由に使用しています。しかし、使用すべきタイミングが分からなければ、効果は望めません。万が一に備えて農薬を散布するか(経費が増えて、生態系に影響を与える)、窮地に追い込まれるかの選択になります。

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出典: Bosch

ボッシュIoTスイートを基盤としたエンドツーエンドソリューション

植物が病気にかかる可能性は、ハウス内の多くの要因によって決まると考えられます。たとえば、温度、湿度、日射、二酸化炭素レベル、葉の湿り具合などが挙げられます。天候などの外的要因も影響します。Plantect™ソリューションでは、3種類のセンサーを使用してこの情報を収集します。

これも新方式としては有効ですが、システムの機能の一部に過ぎません。本当に役立つIoTソリューションの構築は、センサーでのデータ収集にとどまるものではありません。こうしたデバイスは、連携して有益な知見を生み出す複雑なシステムの一部なのです。

ボッシュソフトウェアイノベーションズは、ボッシュIoTスイートの以下のさまざまな機能を使用して、このシステムの構築を支援しました。

  • 無線通信の使用、 ボッシュIoTゲートウエイソフトウェアは省エネルギーの電池式センサーに接続され、これらのセンサーから環境データをリモートでボッシュIoTクラウドに収集します。
  • クラウドは、基本的にどこからでもデータにアクセスできますが、 Bosch IoT Permissions (英語)を利用すれば、適切なユーザーだけがアクセスできるようになります。ロールやグループメンバーシップなどのサブセットに従って、ユーザーやテナントの管理および承認ができるため、プロセスがシンプルになります。
  • さらに、 ボッシュIoTリモートマネージャーによって、センサーおよびゲートウエイの監視と更新が可能になるため、ハウスをすべて歩き回る必要はありません。

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出典: Bosch

早期行動力

結果とした生まれたこのシステムは、ハウスの状態を報告するだけでなく、はるかに多くの機能を備えています。ボッシュ人工知能センターが開発したアルゴリズムによって、このデータを分析し、天気予報と関連づけて、病害の発生確度を予測します。これにより、農家は感染リスクの通知を受け取ります。トライアルに参加した栽培者の中には、病害による損害で常に作物の70%を失った人もいることを考えれば、この知見の価値は計り知れません。

過去のデータを調べたところ、このシステムは、92%の精度で病害の発生確度を予測できることが分かりました。つまり、農家は正確に必要なときに、作物の処置ができるようになるということです。Plantect™のトライアルに参加した栽培者の1人の話では、収穫量が約20%増加し、「現時点で、これまでで最大の収穫高を見込んでいます」とのことでした。

そのまま設定なしで使えるIoTソリューション

新技術を導入する際、農家にとって重要なポイントは使いやすいということです。Plantect™を使い始めるのに、特別な技術的スキルは不要です。基本パッケージには、センサーが3個とゲートウエイデバイスが1個、同梱されています。必要なのは、箱からセンサーを取り出してハウスに取り付けるだけです。後は、センサーが自動的にゲートウエイに接続してくれます。さらに、ゲートウエイは、ハウスから最大1.5キロ離して設置できるので、1台のゲートウエイで複数のハウスに対応可能です。クラウドにある視覚化されたデータにはどこからでも、スマートフォンやパソコンのウェブベースのアプリ経由でアクセスできます。ボッシュでは、このサービスをサブスクリプションベースで提供しています。このサービスをベースとして、周辺監視機能と病害予測機能の契約を選択できます。重要な点は、ハードウェアの追加コストが不要だということです。

社会的評価

Plantect™ソリューションは、2017年の発売後数ヶ月で、 「グッドデザイン賞」(英語)という特別な賞を受賞しました。日本で、この「グッドデザイン賞」に作品を提出する企業やデザイナーは、毎年1,000を超えます。表彰の決め手は、社会や人々の生活に対する作品の意義です。ボッシュのソリューションが専門家から高い評価を得たのは、その構想と農家のニーズに応じて提供する広範なサービスの両面によるものです。さらに、農家や農機具販売店、政府機関からも一様に市場で大好評を博しています。初期投資コストゼロ、プラグアンドプレイのコンセプト、手軽な監視機能と病害予測機能 – これらの要因がすべて揃って、Plantect™ソリューションは、市場の現在の要求に正確にマッチしたのです。

この高度でしかも使いやすいソリューションが、IoTをAIなどの他の新興技術と組み合わせることで、農家や人類を何世紀にもわたって悩ませてきた問題を解決できるということを実証するのは間違いありません。

農業分野のIoTの詳細